売上げアップに効果的?カスタマーサクセス2.0とは?
カスタマーサクセスは、すでに広く普及している概念です。
主にサブスクリプション型サービスの解約防止に役立つ手法として日本国内でも広がりを見せているのは、多くの方がご存じのとおりです。そのカスタマーサクセスのバージョンアップ版ともいえる、「カスタマーサクセス2.0」という概念が登場し、サブスクリプション型サービス以外のさまざまな業種、商材にも広がりを見せつつあります。
今回はこのカスタマーサクセス2.0について、旧バージョンともいえるカスタマーサクセスと何が違うのか、なぜ大いに注目を集めているのかについて解説したいと思います。
カスタマーサクセス2.0とは?
冒頭で述べたように、カスタマーサクセスはサブスクリプション型サービスの解約を防止するために考案された概念で、サービス利用者の満足度を向上させることによって解約を防止し、さらにはアップセルやクロスセルにもつなげていくためのものです。
なお、カスタマーサクセスを基本から学びたいという方は、以下の記事でおすすめの本を紹介していますので、そちらも参考にしてください。
これに対してカスタマーサクセス2.0はそのバージョンアップ版、さらに適用領域拡大版ともいえるものです。
アメリカの大手コンサルティング会社であるマッキンゼー・アンド・カンパニーが2018年に提唱し始めたもので、単なるサブスクリプション型サービスの解約防止ではなく、幅広い業種、商材で顧客のLTV(ライフタイムバリュー)を向上するための概念であることが注目を集めました。
カスタマーサクセスはなぜ注目されるのか?
それではなぜ、カスタマーサクセス2.0は発祥の地である米国を中心に注目を集めるようになったのでしょうか。
考えられる最大の理由は、これから予想される深刻な人材不足とサービス品質維持の両立です。日本はすでに人口が減少しており、今後は企業の人手不足がより深刻化することが必至です。そんな時代に少ない人的資源で顧客満足度を高める手法へのニーズはとても高いですが、カスタマーサクセスはITツールを活用して省人化を実現できるため、この問題への処方箋となる可能性が高いでしょう。
もうひとつの背景として、顧客心理の変化が挙げられます。多くのサービスがネット上に移行している昨今では、満足度が低いと感じた顧客は簡単に他社に「浮気」をしてしまいます。実店舗であれば距離などの制約から顧客の流出を防げていた側面がありましたが、ネット上のサービスにはそれがありません。カスタマーサクセスによって顧客をつなぎとめる努力をしなければ、やがて顧客を失ってしまう危機感があるわけです。
カスタマーサクセス2.0のメリット
カスタマーサクセス2.0によって得られるメリットは、主に3つあります。それぞれ1つずつ解説しましょう。
①LTVが最大化される
今や企業にとって、LTVの最大化は大きな課題です。
多くの業種で市場が飽和状態になっている今、既存顧客をいかにファン化して継続的な購買につなげるかが重要になります。
カスタマーサクセス2.0は顧客とのコミュニケーションを密にして信頼関係を構築するためアップセルやクロスセルが自然に発生しやすく、長期目線でLTVの最大化につながります。
②顧客理解が深まる
カスタマーサクセス2.0では顧客との接点を増やすことが重視されるため、重要な方法では掘り起こせなかったニーズや生の声を集めることができます。こうした情報はLTV向上だけでなく、新製品の開発などにもフィードバックすることができます。
③あらゆる業種、商材に適用可能
すでに解説しているように、カスタマーサクセス2.0はサブスクリプション型サービスだけでなくさまざまな業種、商材にも適用可能です。これで多くの企業がLTV向上などのメリットを得られるようになることでしょう。
カスタマーサクセス2.0のデメリット
カスタマーサクセス2.0(旧バージョンともいえるカスタマーサクセスも含む)には、取り組むことによって発生するデメリットは特にありません。導入に向けて人的資源の開発やITツールの購入などを伴うため、人的、金銭的なコストが発生しますが、カスタマーサクセス2.0のように長期的にリターンが得られる取り組みでは適切な投資と解釈できます。
強いて言えば、今すぐ結果が出るような即効性のあるものではなく、継続することで少しずつ結果が出る性質であるため、短期的に結果を求める場面には不向きであることです。
まとめ
カスタマーサクセスは今やバージョンアップして、カスタマーサクセス2.0となり新たな展開を見せています。これから導入するのであればカスタマーサクセス2.0を目指すべきで、それによるLTVの向上や顧客理解の深まりといったメリットは長期間にわたってリターンをもたらしてくれるでしょう。
まずは自社に導入するとどんなメリットが考えられるか、それはコストに見合ったものかといったシミュレーションから始めてみてはいかがでしょうか。